特定事業所加算の算定要件と取り方|訪問介護・居宅介護・重度訪問介護

特定事業所加算の申請を、コンサルにお願いしていました。

1事業所あたり10万円。社労士にも1事業所あたり月2万円。それを8事業所分、払ってきました。

でも今年から、自分たちでやると決めました。8事業所、全部です。

この記事では、訪問介護・居宅介護・重度訪問介護の特定事業所加算について、算定要件の整理と、実際に取りにいくときの順番を、訪問介護9店舗を運営している立場から書きます。

先に結論だけ言うと、加算が取れない理由は、要件が厳しいからではありません。やってはいるけれど、記録として残していないからです。

なぜ加算の申請を外注しないのか

外注していると、加算のルールが社内に残りません。

これが一番の問題でした。ルールを知らない会社は、職員に「なぜこの配分なのか」を説明できません。加算で入ったお金をどう配るかを説明できない会社が、職員に信用されるわけがない。

もうひとつ。うちは介護の書類作成AI「ケアGO」を自分たちで開発しています。加算の要件管理を製品に載せるなら、自分で全部やらないと現場が楽になるものは作れません。丸投げして作った機能は、現場で使われません。

特定事業所加算とは?区分ごとの加算率

一定の要件を満たした事業所が、介護報酬に上乗せで算定できる加算です。区分によって率が変わります。

訪問介護(介護保険)

Ⅰ=20% / Ⅱ=10% / Ⅲ=10% / Ⅳ=5% / Ⅴ=3%

居宅介護(障害福祉)

Ⅰ=20% / Ⅱ=10% / Ⅲ=10% / Ⅳ=5%

重度訪問介護(障害福祉)

Ⅰ=20% / Ⅱ=10% / Ⅲ=10%

Ⅰなら売上に対して20%です。決して小さい数字ではありません。

特定事業所加算の要件は3種類だけ

ここを整理せずに要件を眺めると、量に圧倒されて終わります。実際は3つに分かれているだけです。

  • 体制要件:事業所として何をやっているか
  • 人材要件:どんな資格・経験の人が何割いるか
  • 利用者要件:重度の利用者さんをどれだけ受けているか

自分の事業所がどこで詰まっているのかを、まずこの3つで判断してください。

特定事業所加算の要件は体制・人材・利用者の3種類
特定事業所加算の要件は、体制・人材・利用者の3つに分かれています。

体制要件は「やって記録するだけ」で満たせる

ここが今回いちばん伝えたいところです。

体制要件は、お金も資格も要りません。やって記録するだけです。たとえばこういう内容です。

  • 従業者ごとの研修計画を作り、それに沿って研修をする
  • 利用者情報の伝達や技術指導を目的とした会議を定期開催する(概ね月1回以上)
  • サービス提供責任者が担当者へ文書で伝達し、提供後に報告を受ける
  • 従業者の健康診断を定期的に実施する(事業主負担)
  • 緊急時の対応方法を利用者さんに明示する
  • 新規採用者に、熟練者の同行研修をする

読んでもらえば分かると思いますが、どれも「まともに事業所を運営していればやっていること」です。

それなのに加算を取れていない事業所が多いのは、要件が厳しいからではありません。やってはいるけれど、記録として残していないからです。

体制要件チェックリスト6項目
体制要件はお金も資格も要りません。自社の状況と照らしてみてください。

人材要件は計画的に時間をかける

ここは正直に書きます。すぐには無理です。

  • 介護福祉士が30%以上。または介護福祉士と実務者研修修了者で50%以上。または常勤換算で40%以上
  • サービス提供責任者の実務経験年数(介護福祉士なら3年以上、実務者研修修了者等なら5年以上など)
  • サ責を複数配置する事業所は、常勤のサ責を2名以上

採用と資格取得が必要なので、計画を立てて何年かかけて満たしにいく話になります。

利用者要件はサービス種別で決まる

重度の利用者さんの割合が問われます。要介護度の高い方、障害支援区分の高い方、喀痰吸引等が必要な方をどれだけ受けているか。

これは努力で急に変えられるものではありません。ただ、重度訪問介護をやっているかどうかで大きく変わります。

根拠書類は自治体のチェックシートに全部書いてある

各自治体が出しているチェックシートには、要件ごとに「何を根拠書類として出すか」が明記されています。

研修カリキュラムと個別研修レポート。定例会議の議事録と出席簿。健康診断の予定日と結果。新規採用者の同行記録シート。勤務形態一覧表。実務経験証明書。

つまり、何を残せばいいかは最初から決まっているんです。

評価されるのは慌てて作った書類ではなく、日常的に積み上がっている記録です。加算も運営指導も、やることは変わりません。

実例:重度訪問介護はⅠ、訪問介護・居宅介護はⅡ

実際にうちがどうなっているかを書きます。

重度訪問介護は、必ずⅠを取っています。訪問介護と居宅介護は、今のところⅡです。

なぜ差が出るのか。利用者要件です。

重度訪問介護は、そもそも障害支援区分の重い方が対象のサービスです。だから「区分5以上や喀痰吸引等が必要な方の割合」という利用者要件を、事業の性質としてほぼ自動的に満たします。

一方で訪問介護や居宅介護は、軽度の方から重度の方まで幅広く受けます。だから重度者の割合という要件で引っかかりやすい。加えて人材要件のハードルもあります。

ここが実務上のポイントです。同じ会社でも、サービス種別によって狙える区分は変わります。

「うちはⅡしか取れない」と決めつける前に、サービスごとに要件表を見てください。重度訪問介護をやっているなら、Ⅰが射程に入っている可能性があります。

人材要件はサ責の「配置」でも動く

重度訪問介護でⅠを取るには、すべてのサービス提供責任者が一定の要件を満たしている必要があります。3年以上の実務経験がある介護福祉士、5年以上の実務経験がある実務者研修修了者等、または重度訪問介護従業者として6,000時間以上の実務経験がある人。このいずれかです。

うちは重度訪問介護のサ責には介護福祉士を配置しています。複数の選択肢がある中で、いちばん確実に要件を満たせるからです。

見落とされがちですが、人材要件は「採用して育てる」だけの話ではありません。「誰をどのサービスのサ責に置くか」でも動きます。

まずは今のメンバーの資格と実務経験年数を一覧にして、サービスごとに並べ替えてみてください。それだけで、取れる区分が変わることがあります。

どの順番で取りにいくか

いきなり全部でⅠを目指すと、人材要件で止まります。

現実的な順番は、まず体制要件を全部埋めて、サービスごとに取れる区分から取る。そのうえで人材要件を計画的に満たしにいって、上の区分へ上げていく。

うちは今、8事業所すべてで積極的に取りにいっています。

必ず自分の自治体の資料を確認してください

ここに書いた区分・率・要件は、自治体やサービス種別によって異なります。この記事で参照しているのは大阪府・大阪市が公表しているチェックシートです。

「(自治体名) 特定事業所加算 チェックシート」で検索すれば、たいてい出てきます。まずそれを1枚印刷して、自分の事業所の状況を書き込んでみてください。それだけで、どこが足りないのかが見えます。

加算は、取らなければ1円も入りません。入らなければ、職員に配ることもできません。

「書類が面倒だから取らない」で損をするのは、現場で働いている人です。

加算の根拠書類を「日常の記録」から自動で残すために

特定事業所加算の根拠書類は、研修記録・会議議事録・同行記録など、日々の業務の中で生まれる記録そのものです。ケアGOは、訪問介護の書類作成をAIで自動化するシステムで、こうした記録が自然に積み上がる運用を目指して開発しています。

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