介護士の年収は本当に低いのか|自社の給与を全公開して分かった「給料が上がらない本当の理由」

「介護って、稼げないですよね」

面談で、何度も言われてきた言葉です。

僕は訪問介護事業所「ヘルパーステーションにじいろ」を全国9拠点、スタッフ約60名で運営しています。だからこの言葉を聞くたびに思うんです。

稼げないのは業界のせいじゃない。会社の問題です。

この記事では、その根拠として自社の給与を全部公開します。そのうえで、多くの事業所で介護士の給料が上がらない「制度的な理由」と、職場を選ぶときに見るべきポイントを書きます。

介護職員の平均給与はいくらか(厚労省調査)

厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員の平均給与額は33万8,200円(2024年9月時点・賞与含む/基本給等は25万3,810円)。前年から1万3,960円、4.3%上がっています。

上がってはいる。でも、これが「思ったより低い」と感じる人が多いはずです。

うちの介護士の年収と待遇を公開します

夜勤に入っている介護士の年収

  • 週1夜勤:440〜460万円
  • 週2夜勤:480〜500万円

基本の待遇

  • 正社員:月給24〜40万円
  • 登録ヘルパー:時給1,500〜2,450円
  • 賞与:年4回
  • 実務者研修から介護福祉士を取ると、毎月の給与が42,000円アップ(全拠点共通)

なぜこの数字が出せるのか

  • 人件費率 約70%を現場に還元しているから

これがすべてです。売上の7割を働く人に返す。それだけ。特別な魔法はありません。

ちなみにうちは、訪問介護が未経験だったスタッフが約7割で、年齢層は20〜70歳です。経験者を高く買っているわけでもありません。

ヘルパーステーションにじいろの給与を全部公開
うちの給与。人件費率約70%を現場に還元しているから出せる数字です。

なぜ多くの事業所では給料が上がらないのか

ここからが本題です。

僕は最初、「利益を還元しない経営者が多いから」だと思っていました。それも事実です。でも、それだけじゃなかった。

さっきの厚労省の調査に、もう一つ重要な数字があります。介護職員等処遇改善加算を「届け出ていない」事業所に、その理由を聞いた結果です。

  • 全体:「事務作業が煩雑」39.6%
  • 訪問介護に限ると:58.9%

処遇改善加算は、国が「介護職の給料を上げるために使ってください」と用意しているお金です。それを、半分以上の事業所が「書類が面倒だから」という理由で取っていない。

給料を上げるための制度が、書類のせいで使われていない。これ、おかしくないですか?

訪問介護事業所が処遇改善加算を届け出ない理由の1位は事務作業が煩雑 58.9%
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」

現場では「書くこと」に労働時間の3割が消えている

うちの数字を調べたとき、信じたくない事実が出てきました。スタッフの労働時間の3割以上が、「書くこと」に消えていた。

特に重いのがサービス提供責任者(サ責)です。売上を引っ張って、いるだけでチームが回るエース。その人が、

  • パソコンが得意じゃない
  • でもアセスメントは作らなきゃいけない
  • 1件あたり最短でも1時間
  • それが何件も積み上がる
  • 残業して、持ち帰って

そして、ある日ふっと辞めていく。

サ責が1人抜けた事業所のダメージは、経験した人なら分かると思います。売上が傾いて、残ったスタッフがもっと疲れて、また誰かが辞める。完全な負のスパイラルです。

介護をしたくて入ってきた人が、書類のせいで辞めていく。

給料が上がる介護事業所を見分ける3つのポイント

年収を上げたい人に、経営側から正直に伝えます。求人票の「月給◯◯万円〜」だけ見ても意味がありません。見るべきはここです。

1. 処遇改善加算を、どの区分で取っているか

面接で聞いていいです。取っていない事業所は、そもそも上げる気がないか、書類を回す体力がありません。

2. 給与の内訳を開示してくれるか

「頑張り次第です」としか言わない会社は、基準がないということです。

3. 資格を取ったら、いくら上がるか即答できるか

うちは「実務者研修から介護福祉士で月42,000円」と即答できます。数字で答えられない会社は、制度として存在しないのと同じです。

介護の職場選びで見るべき3つのこと
求人票の「月給◯◯万円〜」だけでは、何も分かりません。

介護は、稼げない仕事じゃない

年収は、転職した直後は下がることの方が多いです。積み上げた経験を一度手放して、ゼロから信頼を作り直す作業なので。でも、そこから上げていける環境かどうかは、入る前に見極められます。

そして経営者の方へ。書類が理由で加算を取れていないなら、それは制度の問題ではなく、仕組みの問題です。加算の要件と根拠書類の考え方は、こちらの記事にまとめています。
特定事業所加算の算定要件と取り方|訪問介護・居宅介護・重度訪問介護

ヘルパーステーションにじいろのスタッフ。やりがいも、収入もあきらめない。

介護は、稼げない仕事じゃない。稼げる仕組みを作っていない会社が多いだけです。

「書類が面倒」を理由に加算をあきらめないために

ケアGOは、訪問介護のアセスメント・計画書・モニタリング・議事録などをAIで自動作成するシステムです。僕自身が「書類のせいで加算が取れない」「書類のせいでサ責が辞める」を解決したくて、現場の経営者として開発しました。

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