訪問介護を開業して、黒字になるまでに何が起きるのか。船橋と出雲の数字を公開します
訪問介護の立ち上げ費、僕らの船橋支店は38万円でした。
これだけ聞いたら、「意外と安く始められるんや」と思うかもしれません。
でも、別の新店舗である出雲は、初月の売上が約13.4万円。それに対して支出は約122.1万円でした。
同じ会社が出した店舗でも、始まり方は全然違います。
しかも船橋は、この記事を書いている2026年9月時点でも、まだ単月黒字になっていません。
僕はYouTubeで、新店舗の売上や経費を公開しています。今回は船橋の開業前から2ヶ月目、出雲の開業から3ヶ月目までの数字を振り返りながら、黒字化を目指す途中で何が起きるのかを書きます。
これから介護事業を始めたい方には、うまくいった結果だけでなく、この途中も見てほしいです。
船橋の38万円には、理由があります
船橋は2025年12月1日にオープンしました。
指定を受けるまでの立ち上げ費として、動画で公開したのが38万円。中身は事務所を借りるための初期費用です。
ただ、かなり条件に恵まれていました。
まず、僕らには既存の法人があるので、新たに会社をつくる費用がかかっていません。
そして、管理者になってくれたのが、以前に訪問介護事業所を経営していた方。その方から備品を譲っていただけました。開業後には、以前の事業所の利用者さんの契約も引き継いでいます。
僕が船橋へ行った交通費も、この38万円には入れていません。別の予定で千葉へ行くついでに寄ったので、動画ではそこも正直に話しました笑
つまり、38万円は「誰でもこの金額で始められる」という数字ではありません。僕らの船橋で、開業前のその範囲にかかった金額です。
ここから、毎月の人件費や家賃がかかってきます。
初月に約91万円の売上があっても、赤字でした
船橋の初月、2025年12月の売上は約91.1万円でした。
ただし、これはゼロから営業して、1ヶ月でつくった売上ではありません。以前の事業所からの引き継ぎが中心です。介護保険だけでなく、障害福祉の売上を含みます。
一方、人件費は社会保険料などを含めて約97.1万円。これに、11〜12月分として集計した事業運営費が約16.2万円ありました。
立ち上げ費38万円も含めると、この時点までの収支は約60万円のマイナスです。
翌2026年1月は、売上が約99.3万円、支出が約110.7万円。単月の赤字は約11.5万円まで小さくなりました。
赤字が減ったのはよかった。ただ、売上があることと、利益が残ることは別なんですよね。
初月には、年末ならではの難しさもありました。問い合わせや依頼はあっても、ご家族や関係者との日程が合わず、年始からの開始になったケースがありました。
依頼をいただけたら、その月にすぐ売上になる。そう簡単にはいきません。
出雲は、初月の売上が約13万円でした
2026年4月にオープンした出雲は、船橋と違ってゼロからの立ち上げです。正社員3名で始めました。
4月の売上は約13.4万円。支出は約122.1万円で、差し引き約108.7万円の赤字です。
支出のうち、人件費だけで約109万円ありました。
ここで僕らが優先したのは、スタッフの研修と、現場に慣れてもらうことです。
売上を上げたいからと、最初から無理に予定を詰める。そこで対応しきれなくなったら、利用者さんにもスタッフにも負担がかかる。紹介してくれたケアマネジャーさんや相談員さんの信頼も失います。
僕はそれが怖い。
だから、できることを増やしながら、少しずつ依頼を受けていく。最初の赤字も見込んだうえで、そういう立ち上げ方をしています。
売上が増えても、赤字が増える月がある
出雲の売上は、5月に約39.6万円、6月に約58.3万円まで増えました。
でも、赤字は5月の約78.6万円から、6月は約94.3万円に増えています。
6月に正社員が3名から4名になり、人件費が増えたからです。

売上は伸びている。採用も進んでいる。それでも、その月の赤字は大きくなる。
先に人を採用して、その人が現場に慣れ、担当できる仕事が増えていくまでには時間がかかります。その間も給料は払います。
もちろん、早く黒字にできる方がいいです。赤字を出すこと自体が目的ではないので。
ただ、僕らは最初の半年ほどは赤字になることも想定して、人を育てながら売上をつくる方針で動いています。半年たてば必ず黒字になる、という意味ではありません。船橋の今が、まさにそうです。
予定どおりに進んでいるのか。どこが足りないのか。数字を見ながら、やり方を考え続ける必要があります。
採用予定も、そのまま実現するとは限りません
船橋では、2月と4月にそれぞれ1名ずつ入社する予定がありました。
ところが、その2人とも内定辞退になりました。
正直、これは痛かったです。人が増える前提で考えていた計画を、組み直さないといけないので。
でも、その人にはその人の人生がある。辞退した人を責めたいわけではありません。
だからといって、焦って誰でも採ればいいとも思っていません。「ちょっと合わないかも」と感じながら採用して、結局お互いにつらくなったら意味がない。
採用する予定と、実際に入社して一緒に働ける状態は違う。ここも、開業前の計画だけでは見えにくい部分だと思います。
赤字額と、手元から出ていくお金も違う
もうひとつ、動画で何度も話しているのが、入金までの時間です。
船橋の初月報告では、12月分の売上について「入金は2月」と説明しています。売上として計上されていても、その時点では口座に入っていません。
その間にも給料や家賃は払います。
だから、収支の赤字額だけ用意しておけば足りる、とは考えられません。入金を待つ間に支払うお金も必要です。
開業前に見るべきお金は、大きく分けると3つあります。
- 事務所や備品など、立ち上げにかかるお金
- 毎月の赤字を補うお金
- 売上が入金されるまで、支払いをつなぐお金
この3つは、同じ支出を二重に足さないよう、月ごとの入金と支払いに落として考える必要があります。
「開業費はいくらですか?」だけでは、その先が見えないんですよね。
僕らも、まだ途中です
出雲の初月報告の最後に、スタッフへ「気にしないでください」と伝えました。
赤字の数字を見て、必要以上にプレッシャーを感じてほしくなかったからです。
研修に時間を使い、人を先に採用する。その判断をしたのは経営側です。スタッフには、できることを増やしながら、のびのびと仕事をしてほしい。
そのうえで、経営者として黒字化させて、長く働ける事業所にしていく。そこは僕の仕事です。
この記事で載せた数字は、船橋が2025年12月〜2026年1月、出雲が2026年4〜6月の公開動画に基づくものです。今月の収支ではありません。読みやすいように万円単位で丸めています。
船橋は、2026年9月時点でもまだ黒字化前です。うまくいった結果を振り返る記事には、まだできません。
でも、これから始める人には、むしろこの途中に知っておいてほしいことがあると思っています。
これからも数字と経過を出していきます。
黒字化したときには、その過程も含めて報告します
元の動画はこちら
執筆:岡田健吾
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