介護現場

訪問介護×AI、まず何から始める?現場を知る開発者が教える「3つの活用ポイント」

こんにちは。「ケアGO」運営の[岡田健吾]です。

私は現在、訪問介護の事業所を経営しながら、「訪問介護専用の自動書類作成AI」の開発に取り組んでいます。
まだ開発中の段階ではありますが、日々AIの研究をする中で「これは現場ですぐに役立つ!」という情報がたくさん集まってきました。

「AIなんて難しそう」「うちの事業所にはまだ早い」
そう思っている管理者様やヘルパーさんも多いかもしれません。

今回は、開発者の視点から、訪問介護の現場が「今」知っておくべきAI活用のヒントをシェアします。

1. AIは「仕事を奪う」のではなく「面倒を奪う」もの

「AIが発達すると、介護職の仕事がなくなるのでは?」という不安の声をよく耳にします。
しかし、経営者として、そして開発者として断言します。介護の仕事はなくなりません。

なぜなら、人の肌の温もり、微妙な顔色の変化への気づき、利用者様との会話……これらは人間にしかできないからです。

AIが得意なのは、人間が苦手なこと(膨大なデータの処理、単純な繰り返し作業、書類作成)だけです。
これからの訪問介護におけるAIは、「ヘルパーさんの代わりにケアをするロボット」ではなく、「ヘルパーさんの事務作業を肩代わりする優秀な秘書」になると考えてください。

2. まずは「音声入力」と「要約」に注目する

自社AIが完成する前ですが、一般的なツールでも「ここまではできる」という例をご紹介します。
特に訪問介護と相性が良いのが「音声入力」「要約」です。

  • 音声入力:
    移動中の自転車を止めて、スマホに向かって話しかけるだけでメモが取れる。これだけで、事業所に戻ってからの記憶の掘り起こし作業がなくなります。
  • 要約(ChatGPTなど):
    「〇〇さん、今日は元気そうだったけど、少し食欲がないみたい。お茶は全部飲んだ」という話し言葉を、AIに入れるだけで「【食事・水分】食欲低下気味だが水分摂取は良好」といった記録用語に変換できます。

まずは無料のツールを使って、「喋って記録する」感覚を現場で少しずつ試してみるのもおすすめです。

3. 「介護に特化したAI」が必要な理由

汎用的なAIも便利ですが、私たちはそこで止まらず、「訪問介護に特化したAI」を開発しています。

一般的なAIは、「特定事業所加算」の要件や、「サ責(サービス提供責任者)」が何に苦労しているかまでは知りません。
「現場の法律やルールを知っていて、阿吽(あうん)の呼吸で書類を作ってくれるAI」があって初めて、現場の業務は劇的に楽になります。

私たちは今、まさにその「かゆい所に手が届くAI」を作っている最中です。

現場に「時間」と「余裕」を取り戻すために

AIについて学ぶことは、難しい技術を覚えることではありません。
「どうすればスタッフが楽になるか」「どうすれば利用者様に向き合う時間を増やせるか」を考えることと同義です。

この「ケアGO」では、私のAI開発の進捗レポートだけでなく、介護現場ですぐに役立つITやAIの情報を噛み砕いて発信していきます。

「こんな機能があったら嬉しい」「今の書類業務のここが辛い」
そんな現場の生の声も、ぜひ聞かせてください。皆さんの声を反映して、最高のAIを作り上げていきたいと思っています。

これからの更新も、ぜひ楽しみにしていてください。

この記事をかいた人

岡田 健吾

株式会社YKT Innovation代表。
20歳で起業し、訪問販売から介護業界へ転身。
現在は「ヘルパーステーションにじいろ」を全国に展開し、介護現場の課題解決に取り組む。
現場と経営の両方を知る立場から、「ケア以外のことをAIに」をテーマに、
AIで介護の時間を取り戻すプロジェクト「ケアGO」を立ち上げた。
現場に寄り添うリアルな視点と、次世代の介護のかたちを発信している。

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