介護現場

介護現場の“仕事が回らない理由”は人手不足ではなく「業務設計」にある

── 忙しさの正体と、現場がラクになる仕組みづくり

介護現場では「人が足りない」「常に忙しい」という声が常に聞かれます。
しかし本当に“人員不足”だけが原因なのでしょうか。

多くの現場を見てきた結果、はっきり言えることがあります。

仕事が回らない最大の原因は、人手不足ではなく「業務設計の欠陥」である。

同じ人数・同じサービス規模でも、スムーズに動く事業所と、常にバタバタしている事業所が存在します。
この差を生むのは“業務の流れをどう設計しているか”という構造の違いです。

本記事では、介護現場の忙しさの正体と、今日から改善できる業務設計のポイントを解説します。


■ 1. 忙しさの正体は“ムダと迷い”でできている

多くの現場では、「忙しい=人が少ない」と考えられています。
しかし実際には、スタッフの1日の動きを見ていくと、忙しさの大半を占めているのは、

  • 探す

  • 迷う

  • 確認する

  • 何度も同じ説明をする

  • 情報が揃っておらず作業が止まる

といった “非ケア業務” です。

つまり、介助そのものの負荷よりも、
「業務の構造が悪いせいで生まれる余計な動き」 に多くの時間が奪われています。

例えばこんな場面がよくあります。

  • 利用者ごとの対応基準がスタッフ間で違う

  • 申し送りが口頭のみで誤差がある

  • 記録がバラバラで探しにくい

  • ベテランに判断が集中する

  • 曖昧なルールで毎回“相談して決める”

これらはすべて、
「仕事の流れを設計できていない」ことが原因です。


■ 2. 業務が回らない職場に共通する“構造的な欠陥”

忙しい現場には、以下のような欠陥がほぼ必ずあります。

● ① 優先順位が共有されていない

介護の仕事は膨大です。
しかし、**「今日、絶対にやるべきこと」**と
**「後回しにできること」**の区別がない現場は、常に混乱します。

優先順位が曖昧だと、

「全部やらなきゃいけない気がする」
「焦る」
「本当に必要なケアが後回しになる」

という悪循環が発生します。


● ② 情報共有の質が低い

情報が整理されていないと、仕事は必ず止まります。

  • 申し送りの内容が毎回違う

  • 情報が紙・口頭・アプリなどに分散

  • 情報が“溜まる”だけで、活用されない

この状態では、スタッフのストレスが蓄積し、ミスにもつながります。


● ③ ベテランに負担が集中する

できる人に仕事が集まり、
できる人ほど疲れて辞める。

これは介護業界で最も多い“業務設計の崩壊”です。

ベテランが辞めると現場は混乱し、
新人は育たず、採用コストが増え続けます。


● ④ 役割が曖昧で、判断基準がない

介護現場ではよく、

「これは誰の仕事?」
「どこまで私がやるべき?」

という迷いが起きます。

迷う時間が増えるほど、現場は疲れて仕事が回らなくなります。

これは人の問題ではなく、
役割設計が曖昧な“組織構造の問題”です。


■ 3. 仕事が回る現場は“仕組みで回している”

反対に、仕事がスムーズな施設には以下の特徴があります。


● ① 優先順位が明確

“この時間帯はこれを最優先にする”
“この業務は後回しでも良い”

といった チーム全体の共通認識 がある。


● ② 業務フローが整理されている

利用者別の対応基準、ケアの流れ、記録の手順などが“見える化”されている。

これにより、
新人でも迷わず動ける環境 ができています。


● ③ 情報が一元化されている

情報の置き場が明確で、

「探す時間ゼロ」
「確認の手間ゼロ」

に近づくほど、現場はラクになります。


● ④ ベテランの負担が仕組みで分散

教育体制・役割分担・標準化された業務があるため、
ベテランだけが判断し続ける構造が解消されます。


■ 4. 劇的に現場をラクにする「業務設計4ステップ」

介護現場の業務改善は、次の4ステップで誰でも実行できます。


① 業務の可視化(すべてを書き出す)

まずは、現場の「やっていること」を全て棚卸しする。
実はこれだけで問題の半分が見える。


② 分類(ケア/事務/判断/共有に分ける)

業務を機能別に整理すると、
何に時間を使いすぎているかが明確になる。


③ 削減(ムダ・重複・迷いを排除)

“探す時間”“判断の迷い”“二度手間” を徹底的に減らす。


④ 仕組み化(分担・フロー・基準の明確化)

最後に、誰が見ても同じ動きができるように
ルール・フロー・基準を整える。

これが整うと、
新人もベテランも負担が軽くなり、離職も減ります。


■ 5. 忙しさは「努力」では解決しない

多くの現場では、

「もっと効率よく動いて」
「工夫しよう」
「慣れたらできる」

といった“根性論”が残り続けています。

しかし、どれだけスタッフが頑張っても、
業務設計が悪ければ忙しさは消えません。

忙しさを消すのは努力ではなく、
設計・構造・仕組み です。


■ 6. まとめ:現場がラクになることは、採用・定着・サービス品質すべてにつながる

業務が整うと、現場は驚くほど変わります。

  • ミスが減る

  • 新人が育つ

  • ベテランが残る

  • 管理者が余裕を持てる

  • 利用者へのケアが安定する

  • 採用コストが下がる

介護現場の忙しさは、
“人が少ないから”ではなく、“仕組みが弱いから”生まれる。

だからこそ、業務設計を整えることは、
介護経営の柱になる大事なテーマなのです。

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