「重度の障がいがあっても、住み慣れた自宅で暮らしたい」「人工呼吸器を使用しているけれど、施設ではなく家族と一緒に過ごしたい」――そんな想いを持つ方々を支えるのが「重度訪問介護」というサービスです。
本記事では、重度訪問介護の基本的な内容から具体的な利用方法、さらには人工呼吸器を使用しながら自宅で暮らすための選択肢まで、わかりやすく徹底解説します。
目次
重度訪問介護とは?
重度訪問介護の定義
重度訪問介護とは、重度の肢体不自由者または重度の知的障がい・精神障がいにより、常時介護を必要とする方に対して提供される障害福祉サービスです。通常の訪問介護とは異なり、長時間にわたる見守りや総合的な支援を行うことが特徴です。
このサービスは、障害者総合支援法に基づいて提供されており、介護保険サービスとは別の制度として位置づけられています。利用者様が地域で自立した生活を送れるよう、日常生活全般にわたる包括的なサポートを提供します。
一般的な訪問介護との違い
重度訪問介護と一般的な訪問介護には、いくつかの重要な違いがあります。
- 支援時間:一般的な訪問介護は30分~90分程度の時間単位でサービスを提供しますが、重度訪問介護は数時間から24時間まで、長時間の連続したケアが可能です。
- サービス内容:重度訪問介護では、身体介護や家事援助だけでなく、見守りや外出支援、さらには医療的ケアまで、幅広い支援を一体的に提供します。
- 対象者:重度訪問介護は、障害支援区分4以上(一定の条件を満たす場合は区分3以上)の重度障がい者が対象となります。
- 利用制限:一般的な訪問介護では「できること・できないこと」が明確に決められていますが、重度訪問介護はより柔軟に、利用者様の生活全体を支えることができます。
重度訪問介護のサービス内容
身体介護
重度訪問介護における身体介護は、利用者様の身体に直接触れて行う介助のことを指します。
主な身体介護の内容:
- 食事介助:食事の準備から食べる際のサポート、経管栄養の管理まで対応します。
- 排泄介助:トイレ介助、おむつ交換、導尿などの排泄に関する全般的なケアを行います。
- 入浴介助:自宅での入浴や清拭、部分浴など、利用者様の状態に応じた入浴支援を提供します。
- 更衣介助:衣服の着脱をサポートし、季節や気温に応じた快適な衣類選びもお手伝いします。
- 体位変換:床ずれ予防のため、定期的に身体の向きを変えるサポートを行います。
- 移乗・移動介助:ベッドから車椅子への移乗や、室内外の移動をサポートします。
医療的ケア
重度訪問介護の大きな特徴の一つが、医療的ケアへの対応です。一定の研修を修了したヘルパーが、医師の指示のもとで以下のような医療的ケアを提供できます。
- 喀痰吸引:人工呼吸器を使用している方や、自力での痰の排出が困難な方に対して、口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の吸引を行います。
- 経管栄養:胃ろうや腸ろう、経鼻経管栄養など、チューブを通じて栄養を摂取する方への栄養注入サポートを行います。
- 人工呼吸器の管理:人工呼吸器を使用している方の日常的な管理や、異常時の対応を行います。
- 服薬管理:処方された薬の管理や、服薬のタイミングをサポートします。
これらの医療的ケアは、医師や看護師との連携のもとで提供されるため、安心して任せることができます。
家事援助
重度訪問介護では、利用者様の日常生活を支えるための家事援助も提供します。
- 調理(食事の準備・片付け)
- 掃除(居室やトイレ、浴室など)
- 洗濯(衣類の洗濯・乾燥・整理)
- 買い物(日用品や食材の購入代行)
- 薬の受け取り
見守り・コミュニケーション支援
重度訪問介護の重要な要素として、長時間にわたる見守りとコミュニケーション支援があります。
単に身体的なケアを行うだけでなく、利用者様の精神的な安定や、社会とのつながりを保つためのサポートも提供します。話し相手になったり、趣味の活動をサポートしたり、外出時の同行支援なども行います。
外出支援
重度訪問介護では、外出時の同行支援も可能です。
- 通院の付き添い
- 公共交通機関の利用サポート
- 買い物や余暇活動への同行
- 社会参加活動(会議やイベントへの参加)のサポート
人工呼吸器を使用している方でも、適切なサポートがあれば外出を楽しむことができます。
人工呼吸器を使用しながら自宅で暮らす選択肢
在宅療養という選択
「人工呼吸器を使っているから、自宅での生活は無理」と諦めていませんか?
実は、適切なサポート体制が整えば、人工呼吸器を使用しながらでも自宅での生活は十分可能です。むしろ、住み慣れた環境で家族と一緒に過ごすことで、精神的な安定やQOL(生活の質)の向上が期待できます。
人工呼吸器使用者への対応
重度訪問介護を提供する事業所の中には、人工呼吸器使用者への対応に特化したサービスを提供しているところがあります。
具体的な対応内容:
- 24時間体制のサポート:夜間も含めた24時間体制で、常にヘルパーが付き添い、安全を確保します。
- 緊急時対応:人工呼吸器のアラームや体調の急変時に、迅速に適切な対応を行います。
- 医療機関との連携:主治医や訪問看護ステーションと密に連携し、医学的な管理も万全です。
- 専門的な研修を受けたスタッフ:喀痰吸引や人工呼吸器の取り扱いなど、専門的な研修を修了したスタッフが対応します。
ALS・筋ジストロフィーなど難病への対応
ALS(筋萎縮性側索硬化症)や筋ジストロフィーなどの難病を抱える方々にとって、重度訪問介護は生活の質を保つための重要なサービスです。
これらの疾患は進行性であり、徐々に身体機能が低下していきますが、重度訪問介護では病状の進行に応じて柔軟にサポート内容を調整できます。
コミュニケーション機器の操作サポートや、視線入力装置などのIT機器を活用した意思疎通の支援なども、重度訪問介護の範囲内で対応可能です。
家族の負担軽減
重度の障がいや難病を抱える方を在宅でケアする場合、家族の負担は非常に大きくなります。特に、24時間の見守りが必要な場合、家族だけでの対応は現実的ではありません。
重度訪問介護を利用することで、家族の介護負担を大幅に軽減できます。家族は介護者としてではなく、本来の家族としての時間を過ごすことができ、より良い関係性を保つことができます。
重度訪問介護の利用方法
利用対象者
重度訪問介護を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。
- 障害支援区分4以上の認定を受けている方
- 以下のいずれかに該当する方:
- 重度の肢体不自由者であり、二肢以上に麻痺等がある方
- 障害支援区分の認定調査項目のうち、「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「できる」以外と認定されている方
- 年齢は原則として15歳以上(場合によっては15歳未満でも可能)
申請から利用開始までの流れ
ステップ1:相談
まずは、お住まいの市町村の障害福祉課窓口や、相談支援事業所に相談します。現在の生活状況や困っていることなどを伝え、重度訪問介護が適しているかどうかを確認します。
ステップ2:障害支援区分の認定申請
すでに障害者手帳をお持ちの方でも、サービスを利用するには障害支援区分の認定を受ける必要があります。市町村に申請すると、認定調査員が自宅を訪問し、心身の状態を調査します。
ステップ3:サービス等利用計画の作成
相談支援専門員が、利用者様やご家族の希望を聞きながら、サービス等利用計画案を作成します。どのようなサービスを、どのくらいの時間利用するかなどを具体的に計画します。
ステップ4:支給決定
市町村が計画案を審査し、サービスの支給量(月あたりの利用時間数)が決定されます。重度訪問介護は、利用者様の状態によって月に数百時間の支給が認められることもあります。
ステップ5:事業所との契約
重度訪問介護を提供する事業所を選び、契約を結びます。複数の事業所を見学して、自分に合ったところを選ぶことが大切です。
ステップ6:サービス開始
具体的な支援内容やスケジュールを事業所と相談しながら、サービスが開始されます。
費用について
重度訪問介護の利用料は、原則として1割の自己負担となります。ただし、世帯の所得に応じて月額上限額が設定されており、多くの方は負担なく、または少ない負担でサービスを利用できます。
負担上限月額(2024年時点):
- 生活保護受給世帯:0円
- 市町村民税非課税世帯:0円
- 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満):9,300円
- 上記以外:37,200円
重度訪問介護事業所の選び方
チェックすべきポイント
重度訪問介護事業所を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
- 24時間対応の可否:夜間や休日も含めた24時間対応が可能かどうか
- 医療的ケアの対応力:喀痰吸引や経管栄養、人工呼吸器管理などの医療的ケアに対応できるスタッフがいるか
- 専門性と経験:重度障がい者や難病患者へのケア経験が豊富か
- スタッフの質と人数:十分な人数のスタッフがおり、研修体制が整っているか
- 医療機関との連携:病院や訪問看護ステーションとの連携体制があるか
- 緊急時対応:急変時の対応体制やマニュアルが整備されているか
- 相性:実際にスタッフと会って、相性や雰囲気を確認する
見学・相談のすすめ
契約前に必ず事業所を見学し、サービス内容について詳しく説明を受けましょう。可能であれば、実際にサービスを利用している方の声を聞くことも参考になります。
また、一つの事業所だけでなく、複数の事業所を比較検討することをおすすめします。
まとめ:重度訪問介護で実現する「自分らしい生活」
重度訪問介護は、重度の障がいや難病を抱える方々が、住み慣れた自宅で「自分らしい生活」を続けるための強力なサポートシステムです。
人工呼吸器を使用していても、24時間の医療的ケアが必要でも、適切な支援体制があれば在宅での生活は十分に可能です。むしろ、施設ではなく自宅で暮らすことで、家族との時間を大切にし、より豊かな人生を送ることができます。
「こんな状態では無理だろう」と諦める前に、まずは相談してみることが大切です。重度訪問介護を専門とする事業所では、さまざまな困難を乗り越えてきた経験とノウハウがあります。
ヘルパーステーションにじいろでは、重度訪問介護に特化したプロフェッショナルなサポートを提供しています。ALS、筋ジストロフィーなどの難病をお持ちの方、人工呼吸器を使用されている方への支援実績も豊富です。
24時間365日体制で、利用者様とそのご家族の「自分らしい生活」を全力でサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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