目次
■ はじめに
介護の現場では、「人手不足」「業務過多」「情報共有の非効率」といった課題が長年続いています。
多くの管理者が「分かってはいるけど改善できない」と悩みながら、現場の疲弊が進んでいるのが現実です。
一方で、ここ数年、介護業界にもデジタルシフトの波が確実に押し寄せています。
国も「ICT導入支援加算」「LIFE活用」などを推進し、業務効率化とサービス品質向上の両立を支援しています。
とはいえ、ただシステムを入れれば解決するわけではありません。
大切なのは、「現場でどう活かすか」「職員が納得して使える仕組みをつくること」です。
この記事では、ICT・AI時代における介護現場の変革ポイントを、実際の導入現場の声も交えながら3つの視点で解説します。
■ 1. 現場を“見える化”する ― 情報の一元化が生む安心と効率
介護現場では、利用者の状態・記録・スケジュールなど、多くの情報が紙や個人メモ、ホワイトボードなどに点在しています。
この「情報の分散」が、ミスや手戻りを生み、最も時間を奪っている原因のひとつです。
ICTを活用して情報をクラウドで一元管理することで、次のような変化が起こります。
ケア記録の入力漏れ・重複を防止
利用者の状態変化をリアルタイムで共有
管理者が外出先からでも状況を把握
シフト間の引き継ぎ時間を大幅短縮
実際に、記録アプリを導入した事業所では
「日報の確認が10分→2分になった」
「管理者が現場の進捗をスマホで確認できるようになった」
などの声が上がっています。
重要なのは、“システムの機能”よりも“現場の使いやすさ”。
複雑な操作や入力項目の多いシステムは、結局誰も使わなくなります。
「1分以内で記録が完了するか?」という視点で選ぶことが、現場定着の第一歩です。
■ 2. 職員の“働き方改革”を支える ― デジタル化が生むゆとり
介護の仕事は、人と向き合う時間が最も大切。
しかし現実には、記録・報告・請求関連の事務作業に多くの時間を取られています。
残業や持ち帰り記録が常態化している事業所も少なくありません。
そこで注目されているのが、AIやクラウドを活用した「業務の自動化」。
訪問記録を音声入力で完結
シフト作成を自動提案
利用者ごとの実績データを自動集計
AIが請求漏れ・加算ミスを検知
これにより、1日あたり30〜60分の削減につながるケースもあります。
さらに、ICT導入の副次効果として「心理的負担の軽減」も挙げられます。
「残業が減って家庭の時間が増えた」「自分のケアを振り返る余裕ができた」
そんな声が現場から聞こえるようになりました。
デジタル化は“人を減らすためのもの”ではなく、
「人が人らしく働ける環境を取り戻すためのツール」。
それを正しく理解し、職員全員で共有することが、働き方改革の第一歩です。
■ 3. 利用者と家族を“つなぐ” ― ICTが生む新しい信頼関係
介護の仕事の本質は「人と人との関係性」にあります。
ICTの導入によって、この関係性が冷たくなるのでは?という懸念もありますが、
実際にはその逆です。デジタルは、信頼を深める架け橋になります。
たとえば、こんな取り組みが始まっています。
ケア記録や写真を家族に自動共有
タブレットでビデオ通話を行い、離れて暮らす家族と“日々の様子”を共有
AIが体調変化を検知し、異常を早期に通知
ご家族からは、
「離れていても毎日の様子が分かるから安心」
「夜勤中のスタッフの対応に信頼が持てるようになった」
といった声も増えています。
デジタル化の目的は、「介護の温度を下げること」ではなく、
“安心と信頼の距離”を縮めること。
アナログでは届かなかった安心を、ICTで届ける時代が来ています。
■ 4. 導入の成功は“現場の巻き込み力”で決まる
多くの経営者や管理者が陥るのが、「導入=ゴール」という誤解です。
実際には、“導入後の浸透プロセス”こそが最も重要です。
導入を成功させるには、次の3ステップが欠かせません。
現場ヒアリング
どの業務が負担なのか、職員の声を丁寧に拾う。テスト導入(スモールスタート)
まずは1拠点・1チーム単位で実験的に運用。成功事例の共有と拡大
効果が出た事例を社内で共有し、他拠点へ展開。
失敗する導入の多くは、
「上層部が決めて現場に丸投げ」「研修・サポート不足」で終わってしまいます。
ICT導入は、“人の意識改革”と“運用サイクル”の改革を同時に進めるプロジェクトです。
■ 5. 介護×AIが切り拓く“次のステージ”
ここ数年でAIの進化は目覚ましく、
介護現場にも“AI記録アシスタント”や“音声要約AI”“ケアプラン自動生成”といったツールが登場しています。
「AIが記録を取る」「AIが書類を作る」
そんな未来は、もはや遠い話ではありません。
たとえば、ケアGOが掲げるコンセプト——
「手間はAIに。あなたはケアに。」
これは、まさに介護の本質を守るためのテクノロジーのあり方です。
人がAIに置き換えられるのではなく、
AIが“人の時間を取り戻す”。
その結果、利用者一人ひとりに寄り添う“ケアの質”が高まる。
AIは冷たい技術ではなく、温かさを取り戻すためのパートナー。
介護の未来は、AIとともに進化していきます。
■ まとめ ― 小さく始めて、大きく変える
ICT導入は、決して大規模投資が必要なものではありません。
最初の一歩は、「1つのツール」「1つの業務」からで十分です。
たとえば:
ケア記録のデジタル化から始める
職員間の連絡をLINEから専用アプリへ
紙の予定表をGoogleカレンダーに置き換える
それだけでも、「情報共有のスピード」「管理者の負担」「残業時間」は大きく変わります。
そしてその小さな変化が、
“働く人が笑顔になる介護現場”をつくり出していくのです。
■ 最後に
ケアGOは、現場で働く人の声から生まれたAIアシスタントです。
「記録をAIに任せて、あなたはケアに集中できる」――
それが、私たちが目指す介護の未来です。
もし、
「ICT導入に興味はあるけど何から始めたらいいかわからない」
「AIを使ってみたいけど現場に合うか不安」
という方は、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの事業所に合った“最初の一歩”を、一緒に設計します。



